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 今朝はゆっくり起きました。9時半の気温12度爽やかな紅葉日和です。さくら・なら・ほうば・唐松は少しずつ葉を落とし始めましたが今を最後と今日も素晴らしい景色です。
 駅から三キロ程離れた山の上にある我が家までの道を中心に、主人は胴乱を肩にを掛け時には周り道をしながら、四十年あまりにもわたって、植物を尋ね歩いてきた。
 どこにどんな植物があり、今どんな花が咲いているか、目をつぶっていても分かるとつぶやく。
 家の周りに植えた植物は、とくに大事にして、朝夕必ず見て周った。夜中遅く帰って来ても、懐中電燈を手に雨の日は傘をさして。
 もうすぐ咲きそうだったあの花の蕾はひらいたかな・・・・・と。
『どんな植物と一緒に咲いているのか見たいんだから、やたらに抜いては駄目だ。』・・・・・・自然のあるがままの姿を受け入れ、支え合って生きる命の尊さを学びとっていたのではないだろうか。
 又。夜はこの木の下に立ち、星空を見上げては、何度星座の話をしてもらったことか・・・。中略
 病院のベットにもたれ「生きていたい」と叫んでいた主人の命は今主人が好んだ場所に立つと、草木や小鳥、星に至るまであらゆるところで息吹き始めて、生き続けている様にさえ思える。鉛筆を握る力も無くなり、水さえ飲み込めなくなった最後ですら、体には気品が漂い、凛として優しかった。
木曽の植物 緑とともに』 著者 寺澤宇平  発行所 長野日報社
 寺澤宇平さんがお亡くなりになった後、奥様の寺澤茂子さんにより平成12年8月15日に出版 1300部を販売しました。が先日100部が思わぬ所より見つかり、あずき亭でも少し販売してくれませんか・・との事。定価2500円の処を2000円にて販売しています。
 内容は長野日報に連載された細密にデッサンされた花とその花の説明、それにまつわる伝説や古事、木曽谷の風習や思い出話等、550ページに亘り一ページ毎にエッセイのように楽しめます。